2016-01-01から1年間の記事一覧

連作空間と楽しい線形代数学のはなし―その2

東北大短歌3号浅野大輝「連作空間論」を読んで考えたことを書く、続きです。 gohannmogumogu.hatenablog.com 話を再開する前に、どういう立場でこれを書いているのか補足しておきます。 ・〈連作空間〉は比喩: ここで区別したいのは、物事を数学的な概念を…

連作空間と楽しい線形代数学のはなし

表題の通り東北大短歌3号の浅野さんの「連作空間論」を読んだはなしと、楽しい線形代数のはなしをします。 「連作空間論」は、短歌連作というもの自体について理論を立てたり議論したりすることが必要だ、という問題意識から、線形空間という数学の概念を借…

歌会で何を話すか

一般的に、関西の歌会は修辞重視で、関東の歌会はイメージング重視だ、みたいな話がある。なんとなくそうなのかも知れないな、と思うときもあるし、血液型占いとかの適当な占いの言葉みたいに、言われてみればそんな感じに思えてくる、程度の話なのかもしれ…

CHITENの近現代語

地点という劇団があります。今出川通と白川通の交差点にアンダースローという劇場があって、そこを拠点に活動しています。地点の公演はどれも観ていてあがるものがある、というとざっくりすぎるけど、圧倒的な体験だと思います。これから、地点のレパートリ…

真鍋美恵子『羊歯は萠えゐん』

昨日は月と六百円*1で真鍋美恵子第六歌集『羊歯は萠えゐん』(1970)を読んだ。 真鍋美恵子(1906-1994)は、葛原妙子(1907-1985)と同年代で、以前の月と六百円で真鍋の『玻璃』を扱ったときにも葛原や森岡貞香(1916-2009)との関係も話に上がった。 八月…

千種創一歌集『砂丘律』

名古屋の砂丘律の批評会に行った。でも、前から決めていた京大短歌22号の校正の日程をずらすのは絶対にだめだと思ったので、すぐ京都に戻った。昼食会には行かずに帰ってしまったし、今回の批評会のことはなんだかもにょっている。 あんまりもにょりすぎて布…