2022-01-01から1年間の記事一覧

読んでない本

イヤホンをいつか買うけどいつ買うか 朝の雨からいきなり寒い 大通り沿いだけビルが高いのが歩いていけば裏から見える ねむくなるのを待てなくてもう一度電気をつけて読む用の本 寝ころんだまま本を読む体勢にどれも疲れてきてやり直す 一口で噛み切れないで…

休憩

目のなかの睫毛を指で取るときのほのかな高揚に息詰めて 夜が来ると白黒になる水面と橋を渡ってきてから思う 先っぽがちぎれた足がなびいている七夕飾り 完全な足も 近づけば鳴いているのは分かるから葉っぱの影に鳥を探した 夕方はよく風の吹く大通りの風を…

無題

うなぎ味のかまぼこ/かば焼き味のたれ 知らない人の言うことを聞く ユリノキと書いてあるから歩くたびどれもユリノキ朝にも夜も 帰りには止んでいた雨 葉から降る残りの雨もだんだん止んで 八雁2022年7月号通巻64号

シャンプー

話しているところの人へ向くのだと顔や目を合わせてみるのだと シャンプーをしたか忘れてシャンプーをしたことのある記憶をたどる 前の人のコートの裾が摺らないか見ていたかった階段を降り あまりにも寒くて乳首まで痛む コンクリートでできている川 八雁20…

無題

ややこしい形に交差した道を赤にして青にする信号 写真禁止マークがついた作品もあるのでこっちのは撮っていい つながれてしっぽの丸い白い犬 笑ってるみたいな顔をして 会計をカードでできる端末が入って、それがこの前の秋 スーパーは三つあるけどせせりっ…

春の短歌

散歩しに通る小道の植え込みに花が咲いてて造花みたいだ 桜並木の色の濃いとこうすいとこ 見下ろして 目をゆっくりこする 傘立てにしまうとちょうどよさそうな高さに花の枝は売られて 花びらが降るのをふけにみまちがう薄暮の奥に誰か立ってて 八雁2021年5月…

無題

電話かけながら通路にしゃがみ込むそうだとしてもきみはどうして 毛の生えたひざかけの毛にゆび立てて動かしていく冬だというが 朝食と夕食のたび一つずつみかんを食べて減ってくみかん ベルメゾンのカタログの家具たのしそう ひとりぐらししはじめたのはも…