秋のうた

 

美術館のソファーまで来て座ってるその十月も半ばをすぎて

 

働いている間にふりはじめふりやんだ雨があり雨音もあったろう

 

誰もいないけれど明るい灯のしたのブランコのそれぞれの水たまり

 

さみしさのことをちょっと分かる よい小説や映画にあって

 

パンくずのこぼれるままに手でちぎるあと一切れのフランスパンを

 

初出:羽根と根フリーペーパー2017.11