2019-09-03 ざらざらの 短歌連作 食べたあといくらなめても塩味のくちをつぐんで画面に戻る 目が悪くなった気がしてうすく見る 片側だけが日なたの路地を 窓際の席をさがせばテーブルにきみの居眠りぬかづくような 連翹も馬酔木も見ずに壁ぎわをずっと進んだざらざらの壁 冬コート着たまま終わる三月をばかのようにも思ってすごす キャスターの音を鳴らして一つずつ椅子を運んだ言われた場所へ 初出:『八雁』2019年5月通巻45号