2020-11-07 わたしは口内炎にならない 短歌連作 走ったら間に合うかもね信号が赤になるところを見届ける きらいってきみが言ってた音楽と途中でわかる 窓に降る雨 ぼろだから忘れたときは買おうって思ってずっと使う長傘 読みついである日見つける栞紐を人さし指に伸ばして巻いて スロープが空くまでじっと待っているスケボーの帽子の男の子 見ていたらちょっと眩しいほどの月 歩いて帰る夜あちこちに 口内炎のひとと口内炎のないわたしで食べに行く晩ごはん 八雁2020年3月通巻50号