旅日記拾遺

二人ならちょうどぐらいの客室に荷物をあけてひろがるわたし

 

木の枝を束ねたような細い木がときどき生えてあとは平原

 

住民がいるのかどうか分からないビルたちバスの窓の流れに

 

どうしてか見てたらわかる日本から来た女の子わたしのほうも

 

オーケーとノーしか言葉の通じないタクシーのおじさんとシャシリク

 

誰かのための写真と思う 旅に来たときぐらいしか撮らない写真

 

銅像の日陰の中にあつまっておじさんたちの長い夕どき

 

右の手を胸に置いたらありがとうのポーズ? 状況から思うには

 

みぎひだりに尻尾を振って歩いている牛を抜かして子牛も抜かす

 

はなしかけられているのが日本語とわかってそれで話がわかる

 

 

このあいだウズベキスタンへ行きました。たいそうよいところでした。

八雁2019年11月通巻48号