2019-09-06 思い浮かべる 短歌連作 みずばしら作りはじめた噴水へ歩いていって歩いて過ぎた わりとなにも言えないままだ 手さぐりに紐をつかんで電気をつける 寝転んで思い浮かべる会ってないあいだのきみに増えた洋服 洗剤をたらせば鍋の水面を砕けて逃げるあぶらの光 新しい靴を履くときうつむいて風のさなかの坂道くだる ひきだしのオシロイバナのたねのこともきみに言うから聞いてほしいよ 餃子たべて暮らしています冷凍の焼き餃子きのうは水餃子 初出:『八雁』2019年9月通巻47号